かつて古代慶州を訪れた日本列島からの訪問者の視線に自分の視線を重ねる。
それが捉えた花や鳥や光。
私の韓国の撮影は一千年を遥かに超える視線の拡張から始まっている。
対象を慶州の古墳からソウルに移してもその発想は変わらない。
過去の私はこの国の都大路を行きかう人たちをどんなふうに見たか。
しかし、そんな空想を許さない眼差しが私を捉える。
西大門の監獄に囚われた者たちの視線の先には何があったか。
重ねあわせることの困難なその視線を今の私はどこまで共有できるか。
この写真展がその試みのひとつであることを願う。