Exhibition
Room 1企画展
安田雅和「眼でさわる写真」
安田雅和
会期:2022.04.12(TUE)- 2022.04.17(SUN)
12:00 - 19:00 (最終日 16:00 まで)
「ルーニィで写真展をやらせてもらえないですか?一度作品を見てください。」
今から17年前、長く勤めた雇われマスターとしてのギャラリストから独立した直後のことで、安田雅和さんは突然ぼくの前にに現れた。言うまでもなく安田さんとぼくの付き合いはルーニィが重ねてきた歴史とほぼ一緒である。
最初はコロジオン湿板からプリントした作品を その次にカーボンベルベットプリント、南の島で採った海水から作ったソルトプリントなど、作品の内容に合わせて、使う感光材料を自作し、プリントの方法を変えてきた。いままで四半世紀以上、国内外の数多くのマスタークラスの作品を見てきたつもりだし、現役の作家さんとも相当な数出会ってきたけれど、物質としての写真の可能性を極限まで追求する制作ポリシーを持つ、安田雅和さんはひときわ異彩を放っていた。
安田さんの生み出すプリントは、大抵手で触りたくなるようなテクスチャーを持っている。もちろん手で触れることは許されないし、だいたい、安田さんのプリントは触ると崩れてしまうような超繊細なものが多いのだ。触れないけど触りたい、中には、その微細な表情を画像の粒子をひと粒たりとも見逃すまいと、精密作業用のルーペを持ち込んで、小さな画面に広がる小宇宙に没入していく者もいた。安田さんの作品は、まるで眼で写真の表面をさわるように、画面と向き合ってしまうのだ。
様々な手法を駆使し表現の幅を広げながら、時間を重ねてきた安田雅和さんの仕事をルーニィ取り扱い作品の中から選出して一堂にご覧いただきます。