Exhibition

Room 1個展
Fruits du Temps みのり
櫻井朋成
会期:2025.05.15(THU)- 2025.05.25(SUN)
12:00-19:00(最終日のみ16:00まで) 月火水休廊
五穀豊穣をテーマに、その中でもフランスの伝統的な飲み物であるワインに焦点を当てて撮影し、作品を制作しました。フランス・ジュラ地方のアルボワ(Arbois)市で中世から続く収穫祭“Fête du Biou”を取り上げます。さらにジュラ地方のシャトー・シャロン(Château-Chalon)におけるワイン造りをテーマに、ブドウの収穫から仕込み、この小さな村の長い歴史の中で育まれたワイン文化を追いました。今回は、それらを一堂に集めた展示を行います。
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かねてよりワインをテーマにした作品制作を試みたいと考えていました。しかし、フランスのどのワインに焦点を当てるか決めかねていました。2020年に発表したコンテ(Comtê)では、ジュラ地方のコンテチーズ作りに寄り添い、土地の自然と人々が織りなす壮大な世界を撮影しました。その過程で、ジュラ地方には “黄色いワイン”(Vin Jqune)と呼ばれる特別なワインがあることを思い出しました。
特に“フランスの最も美しい村”に選定された中世の村、シャトー・シャロン(Château-Chalon)で造られるこの黄色いワインは、村の名を冠し“シャトー・シャロン”と呼ばれています。この美しい村を作品に収めたいという思いと重なり、黄色いワインをテーマにすることに決めました。黄色いワインは最低6年3ヶ月の熟成を経て完成するという独特の製法を持ち、ここでもまた時が織りなす世界に出逢うことができました。
収穫祭と黄色いワイン━━ともに長い歴史の中で、この地に住む人々によって受け継がれ、育まれてきた文化の象徴です。その世界を写真に収め、19世紀に起源を持つフォトグラビュール一技法であるフォトポリマーグラビュールと、コロタイプというインクを使った写真製版によって表現しました。
歴史の中で受け継がれてきたこの風景と時間を、私自身の視点で捉え、表現しました。
皆さんにもこの物語を感じていただけたらと思います。